★糖尿病は生活習慣病

糖尿病は、生活習慣病の1つです。暴飲暴食、運動不足、ストレスなどのライフスタイルのみだれや、遺伝による影響がおもな原因となって起こります。
また、自覚症状がほとんどないのも糖尿病の特徴です。
糖尿病は自分には関係ないと考えている方もいると思いますが、糖尿病一歩前の状態である「糖尿病予備軍」はかなり多くいるといわれています。

糖尿病は、大人だけの病気ではなく、最近では子供にも増えています。これは、生活習慣の悪化によるものであると考えられます。

糖尿病は一度なってしまうと治りませんが、「糖尿病予備軍」の段階ならまだ間に合います。糖尿病に対する正確な知識を持って、生活習慣を見直しましょう。

★糖尿病の症状とチェック項目

糖尿病により、以下のような症状がみられることがあります。ただし、糖尿病の症状ははじめのうち、痛みなどの自覚症状がないため、検査で血糖値が高かったり、治療が必要といわれたことがあっても、そのまま治療を受けない人が多い。以下の症状がある場合には、一度医師による診察をおすすめします。

●糖尿病の症状の例

 のどの渇き
 尿の量・回数が多い。
 食欲が異常に強くなる
 食べてもすぐお腹が減り、よく食べているのに体重が急に減る
 全身がだるく、疲れやすい。
 皮膚症状(かゆみ・おでき等)目がかすむ(視力障害)。
 尿に糖が出る。
 立ちくらみ
 手足のしびれ
 インポテンツ(性欲減退)
 月経異常

*症状 のどが渇き、尿の量・回数が増えるのは、大量のブドウ糖を排出するため尿の量が増えてしまい、体の水分が失われてのどが渇くため。

*症状 食べているのにやせるのは、食べてもブドウ糖が正常に利用されずに、慢性的なエネルギー不足になるため。

*症状 全身がだるく、疲れやすくなるのは、インスリンの作用不足でブドウ糖を利用できず、活動エネルギーが足りないため。

糖尿病の初期症状は、痛みなどの自覚症状がないため、治療が必要といわれていても治療を受けない人が多い。しかし、実は、糖尿病の一番の問題は合併症。合併症にならないためにも、糖尿病の症状があらわれた場合、しっかりと治療に取り組みましょう。
どんな病気も治療は早い方がいいですね。
糖尿病においては、自覚症状のない段階から早期発見し、早めに食事療法や運動療法を始めることが大事なのです。

★糖尿病とは

糖尿病とは血糖値が高くなる病気。簡単にいうと、上手くブドウ糖を取り入れられない病気です。
糖尿病になると、血糖値を下げるホルモンであるインスリン不足からブドウ糖がエネルギーを必要とする細胞の中に運ばれなくなり血液の中にあふれてします。(高血糖状態)
それが長く続くと、体はたくさん水分を取って、おしっこをじゃんじゃん出すことで血糖を下げようとします。
そして、食べても食べても筋肉や内臓にエネルギーが取り込めないため、全身がエネルギー不足になり体は弱っていきます。
細胞が弱ると疲れやすい、傷が膿み易い、逆に太れない等の自覚症状が現れます。

★糖尿病の種類と原因

糖尿病は4つのタイプに分けられます。

●1型糖尿病

膵臓がインスリンをほとんど、あるいは全く作らないために体の中のインスリンの量が絶対的に足りなくなって起こる糖尿病。 1型糖尿病の原因は、遺伝や環境が原因とも言われていますが、はっきりとはわかっていないというのが現実です。

●2型糖尿病

インスリンの量が不十分で起こる糖尿病と、肝臓や筋肉などの細胞がインスリン作用をあまり感じなくなるために、ブドウ糖がうまく取り入れられなくなって起こる糖尿病がある。食事や運動などの生活習慣が関係している場合が多い。日本の糖尿病者の95%がこのタイプ。
2型糖尿病の主な原因は、内臓脂肪の増加や運動不足による肥満であるといわれています。肥満以外にも遺伝や環境、ストレス、加齢、食べすぎなども原因といわれています。

●遺伝子の異常やほかの病気が原因となる糖尿病

遺伝子の異常や肝臓・すい臓の病気、感染症、免疫の異常などの他の病気が原因となって引き起こされるもの。薬品が原因となる場合もある。

●妊娠糖尿病

妊娠時に現れる糖尿病。新生児に合併症が出ることもある。

★糖尿病の合併症

1.細小血管障害
 1)糖尿病性網膜症
 2)糖尿病性腎症
 3)糖尿病性神経障害
2.大血管障害
 1)脳血管障害
 2)虚血性心疾患
 3)糖尿病性壊疽
3.その他
 高脂血症・慢性感染症
 胆石症、白内障など

糖尿病の大きな問題は、合併症。糖尿病による腎臓障害で人工透析を始める人も多く、また糖尿病が原因の視覚障害が発生することもある。また、糖尿病の人は、高血圧になる可能性が高いともいわれる。それは、糖尿病と高血圧の危険因子が同じだからだと考えられている。

◆糖尿病の3大合併症(糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症)

・糖尿病神経障害

合併症の中で最も早く出てくるのがこれです。中心となる足や手の末梢神経障害の症状の出かたはさまざまで、手足のしびれ、けがややけどの痛みに気づかないなどです。そのほか筋肉の萎縮、筋力の低下や胃腸の不調、立ちくらみ、発汗異常、インポテンツなど、さまざまな自律神経障害の症状も現れます。

・糖尿病網膜症

目の底にある網膜という部分の血管が悪くなり、視力が低下します。中には失明する場合もあります。また、白内障になる人も多いといわれています。

・糖尿病腎症

おしっこを作る腎臓の、糸球体という部分の毛細血管が悪くなり、だんだんにおしっこが作れなくなります。すると人工透析といって、機械で血液の不要な成分をろ過して、機械でおしっこを作らなければなりません。週に2~3回、病院などで透析を受けるようになるので、日常生活に大きな影響を及ぼします。現在、人工透析になる原因の一位がこの糖尿病腎症です。

★糖尿病の予防方法

糖尿病を予防するためには、食事・運動の両方から考えることが重要です。

◆ 食べ過ぎないこと、栄養のバランスをとること

3食を規則正しく食べ(朝食は絶対に抜かない)、 間食や夜食を避け、3食の食事前には空腹感をつくりましょう。
野菜はたっぷり一日350g 以上。このうち緑黄色野菜は120g 以上が良いとされています。
タンパク質・ビタミン類・ミネラル類は、特に不足しないようにしましょう。
甘い物や、脂っぽいものを食べ過ぎないように。
他、いろいろありますが、これが基本です。

◆ 運動は有酸素運動、合計で1日20~30分以上

「有酸素運動」というのはウオーキング(速歩)、ジョギング、サイクリング、水中運動などで、軽く汗ばむ程度がよいとされ、脈拍が1分間に110~120 を越えない程度が目安。
20分とか30分以上運動しないと脂肪は燃焼しない、これは皮下脂肪を落とすときのこと。 体脂肪を落とすなら5分とか10分でもよい。5分を6回で合計で1日30分とかでも良いのです。
「休日に1回、趣味で運動をする」 草野球、ママさんバレー、ハイキング。楽しみながらの運動であれば何でもOK
学生時代にスポーツをしていないなら、スクワットや筋トレで鍛えましょう。とくに女性は少しの筋肉質になることで、体の不調から開放されていきます。 栄養を食べないダイエットは命を縮めているだけです。
糖尿病はストレスとの関係も大きいため、休日にストレスのない状態で運動をすると、より効果が高くなります。

※ 食事でも運動でも出来ることから

糖尿病というのは、何年も、あるいは何十年もの時間経過で発病します。 少しでも、できる事からでも良いので、まず始める事が最もたいせつです。


★糖尿病の治療法

糖尿病の治療法としては、初期段階なら食事療法と運動療法。進行したら薬物療法が必要になります。


・糖尿病の食事

糖尿病と診断されてしまったら、日常の生活強度に合った食事をする必要があります(食事療法)。糖尿病食で食べてはいけないものはありませんが、自分にあった分量の食事で、必要とする全ての栄養素をとるように工夫します。バランスのとれた食事になるので、家族と一緒に食べられます。医師の指導に従ってください。

・糖尿病の運動療法

食事療法と同様、運動療法でも医師の指導に従って、自分にあった運動メニューを作る。糖尿病の場合、急に激しい運動をしてはいけないし、運動量が足りなすぎても効果がない。

・薬物療法

主な薬物療法は、血糖を下げるための血糖降下薬という飲み薬と、インスリンがほとんど分泌されない人や不足の人のためのインスリン注射です。
薬物療法が必要になるのは、1型糖尿病の人。1型糖尿病の場合、体内でインスリンを作れないため、必ずインスリン注射が必要になる。それ以外の型でも、食事療法や運動療法を続けても効果が現れない場合薬物療法を行う。


★糖尿病治療の副作用

初期の糖尿病治療薬には下記のような様々な「副作用」がでる恐れがあり、またこれらの薬で抑えられない段階になると、最後はインスリン注射ということになりますが、これには“低血糖”の問題が必ずつきまといます。
このように薬の常用は大きな“危険”を常に伴っているのです。


●糖尿病性神経障害薬の副作用

手足の末梢神経障害に対する薬で、以下のような副作用が確認されています。

・紅斑、水疱・びらん、発熱 ・・・・ [中毒性表皮壊死症、皮膚粘膜眼症候群、紅皮症]
・発疹、発熱、リンパ節の腫れ ・・・・ [過敏症症候群]
・失神(気を失う)、めまい、脈の異常を感じる ・・・・ [心室頻拍、房室ブロック]
・尿量減少、むくみ、全身けん怠感 ・・・・ [腎不全]
・幻視、幻聴、時間・場所がわからない ・・・・ [幻覚、錯乱]

●血糖降下剤

様々な種類の薬が出ていて、種類によってその副作用は様々で、以下いくつかあげると

・下痢、腹部膨満感、食欲不振、胃のむかつき
・空腹感、イライラ、吐き気、冷や汗、手の震え、動悸
・むくみ、体重増加
・低血糖

といった副作用が注意書きとして記載されています。

●インスリン注射の副作用

インスリン注射は血糖値を下げるには万能ですが、実は副作用があります。

1. 低血糖症

みなさんよくご存知の、低血糖です。インスリンが血糖を下げる作用を持つので、低血糖を起こすというのは、いわば当然のことなのですが、低血糖は副作用であるともいえます。

2. インスリンアレルギー

インスリン注射したあとかならず、なんとなくかゆくなり、見ると注射部位に一致して赤くなっている、こんなことから、局所のインスリンアレルギーに気がつきます。1回、2回ではなく、注射するたびに注射部位の皮膚がかゆくなり赤くなる、時間経過とともに軽快する、これを繰り返します。

3. インスリン抗体による低血糖および高血糖

通常は血糖コントロールに悪さはしないのですが、時に低血糖をおこしたり、高血糖をおこしたりして、血糖コントロールがとても困難になることがあります。

★糖尿病と子供

近年は、子供の2型糖尿病が増えています。 それは、大人と同様、子供も清涼飲料水で必要以上の糖分をとっており、また、甘い食べ物や脂っこい食べ物(ファストフードなど)を多く摂っているからのようです。
それに加えて、近年の子供は運動不足が重なり、糖尿病の子供が増えていると考えられます。

★糖尿病判定基準~HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)と血糖値

HbA1cは過去2~3ヶ月の血糖値の状態を示すもので、血糖値のようにその時の血糖値を示すものではありません。血糖値はその時の体調や食事に影響されるので、それまでの状態は判りません。
従って、血糖値だけで糖尿病の判断するのは危険で、HbA1cと合わせて判断することが大切です。

◆HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)検査とは

人の血液の中には赤血球と呼ばれる細胞があります(血液の赤い色の元になっています)
この赤血球の中にヘモグロビンと呼ばれる成分があるのですが、このヘモグロビンは血液中の糖(グルコース)とくっ付いてしまう性質があります。
この糖とくっ付いたヘモグロビンを調べた結果がヘモグロビンA1cです。
2~3ヶ月間の平均的な血糖値を反映する値で、血糖値と同じく採血して測定し、血糖コントロール状態を判断する指標として最も注目されています。
血糖値が検査時点での血糖レベルの瞬間値であるのに対し、HbA1cは一定期間の血糖コントロール状態を反映します。健康診断で糖尿病と指摘されないように、検査前の数日間だけ食事を気をつけても、 HbA1C検査ではすぐにバレてしまいます!

HbA1c(%) 平均血糖値(mg/dl)






10
60
90
120
150
180
210
240

HbA1cの正常範囲は「4.3~5.8%」です。 6.5%以上だと糖尿病と判定されます

2型糖尿病患者を対象にしたよく知られた研究で、合併症の進行と深く関係しており、HbA1cが高くなるにつれて目や腎臓の病気などの長期的疾患にかかるリスクが高くなることがわかっています。
 例:HbA1cが9% ... 網膜症になるリスクは、HbA1cが7%の6倍
 例:HbA1cが10% ... 腎症になるリスクは、HbA1cが7%の10倍近く

〔備考〕

血糖値

◆糖尿病と診断される血糖の基準値

1)随時血糖値が 200 mg/dl 以上
2)早朝空腹時血糖値が 126 mg/dl 以上
3)75g糖負荷試験で2時間後の血糖値が 200 mg/dl 以上

1回目の検査後、別の日に2回目の検査を行う。2回の検査でいずれも血糖値が基準値以上の場合、糖尿病と診断されます。
  (1回だけの検査で越えている場合は糖尿型と呼ばれます)
ただし、糖尿病型を示し、且つ次の場合は1回の検査で糖尿病と診断されます。
● 糖尿病に特徴的な症状(口渇、多飲、多尿、体重減少など)がある
● HbA1c が 6.5% 以上である
● 確実な網膜症がみられる
※ 正常型の空腹時基準値は 110 mg/dl ... 。米国は100 mg/dl ?
出典:日本糖尿病学会
血糖値のコントロール(糖尿病の場合の目安です)
糖尿病では
・ 食前の血糖値が高い場合
・ 食後の血糖値が高い場合
・ 両方が高い場合
とさまざまなタイプがあります。最近では食後の血糖値の上昇と脳卒中や心臓病との関係が注目されており、食前の血糖値だけではなく食後の血糖値もしっかりコントロールする必要があります。
コントロールの評価 優    良    可   不可
血糖値 空腹時 80~110 未満  110~130 未満  130~160 未満  160 以上
食後2時間 80~140 未満  140~180 未満  180~220 未満  220 以上
参考:日本糖尿病学会

★HbA1c国際標準化 JDS値からNGSP値に移行
日本糖尿病学会

2012年01月20日

 日本糖尿病学会は、広く糖尿病診療に用いられているHbA1cの値について、 「2012年4月1日よりNGSP値を用い、当面の間はJDS値も併記する」との方針を発表した。
 同学会は「HbA1c表記の問題の根本的な解決のため、日本での日常臨床を含めた糖尿病の診療・研究全般で、HbA1cの国際標準化を推進するための準備を進めてきたが、体制が整ったので2012年4月1日より日本でもNGSP値“HbA1c(NGSP)”の使用を開始する。なお、2012年度は特定健診などではJDS値を使用し、日常臨床でも両値の違いやHbA1cの意義などを浸透させていく移行期間にあてる」と述べている。
 日本で現在使用されているHbA1c値であるJDS値「HbA1c(JDS)」は、世界の大部分の国で使用されているNGSP値「HbA1c(NGSP)」に比べ約0.4%低値となっている。
この問題に対し同学会は「糖尿病関連検査の標準化に関する検討委員会」を立ち上げ、2010年7月より英文誌や国際学会における発表ではNGSP値に相当する値で表示することを基本方針としてきたが、日常臨床などでは検査値をめぐる混乱を避けるためにJDS値が継続して使われてきた。  HbA1c国際標準化がもたらす日常臨床での影響は大きい。HbA1cは血糖コントロールの指標としてのみならず、2010年度の糖尿病の診断基準の改訂以降、診断基準のひとつとしても活用されている。また、特定健診・保健指導で大量の電子データの書き換えやHbA1cを用いた層別化・判定システムの調整が必要となる。同学会ではJDS値からNGSP値に移行する時期について慎重に検討し、厚生労働省・日本医師会・保険者団体などとも協議を重ねてきた。
 同学会は「HbA1c国際標準化の実施方法が確定した。患者治療上の不利益防止や医療現場での疑問・懸念の解消を図るため、患者・医療機関向けの説明資料を作成し、学会ホームベージなどに表示するなどして広く利用できるようにする」との方針も示した。
日常臨床及び特定健診・保健指導におけるHbA1c国際標準化の基本方針(抜粋)
日常臨床
2012年4月1日よりHbA1cの値はNGSP値を用い、当面の間、JDS値も併記する。
特定健診・保健指導
システム変更や保健指導上の問題を避けるため、2012年4月1日~2013年3月31日の期間は、受診者への結果通知及び保険者への結果報告のいずれも従来通りJDS値のみを用いる。2013年4月1日以降の取り扱いについては、関係者間で協議し検討する。

(社)日本糖尿病学会

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